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契約書基礎知識

リスクが大きい条項を知る

契約書には色々な内容が定められますが、「競業禁止規定」「任意解除規定」は特にあなたの会社(以下便宜上「あなた」といいます)にとってリスクが大きいものですので、これらの条項が入っていないかよく確認しましょう!

なお、以下の契約書の記載例において、「甲」はあなたの取引先を、「乙」はあなたを意味します。

(1) 競業禁止規定

乙は、本契約が存続する間および本契約の終了後1年間は、甲の事前の書面による承諾を得ることなく、自ら又は第三者をして、本契約に基づく業務提携と競合する事業を行ってはならない。

競業禁止規定は、競業する事業を禁止する規定です。大企業との業務提携などの場合には、上記のような規定がドラフトに設けられてきたりします。

競業禁止規定は、ビジネスを大きく制限するものですので、このような規定が定められているとIPO審査やM&Aのデューデリジェンスの際に問題視される場合があります。そのため、このような規定が定められている場合には、まず削除の交渉をしましょう。

しかし、先方もそれなりに資金投資を行っている場合には、受け入れざるを得ないケースも存在します。

このような場合には、例えば、

乙は、本契約が存続する間および本契約の終了後1年間は、甲の事前の書面による承諾を得ることなく、自ら又は第三者をして、本契約に基づく業務提携と競合する事業(●を意味する。)を行ってはならない。

として、行ってはいけない「競合する事業」範囲を明確にすることで、影響を最小限に抑えることが考えられます。

例えば、●に「インターネットオークションのプラットフォーム事業」などと記載することで、単なるECのモールサイトは競業の範囲に含まれないことを明確にすることができると考えられます。

(2) 任意解除規定

甲及び乙は、相手方に対し、1ヶ月までに書面で通知することにより、本契約を解除することができる。

例えば、あなたが行っているメインのサービスが他の会社からライセンスを受けているソフトウェアを使用している場合において、ライセンス契約に上記の規定が設けられていれば、あなたのサービスは甲の通知から1ヶ月後に終了しなければならないリスクに常に晒され続けていることになります。

そのため、あなたのビジネス上存続することが必要な契約の場合には、上記の規定は削除しましょう。

折角解除されないようにしても、そもそも契約の期間が短ければ期間満了で終了してしまう可能性があるため、契約期間に問題がないかについては慎重に検討する必要があります。

少し上級編になりますが、特に海外の会社との契約においては、Change of Controlの条項(=会社の支配権が変わった場合には、契約を解除されてしまう条項)が定められているケースも珍しくないため、M&Aも考慮に入れているベンチャーでは、このような規定がないかについても確認するようにしましょう。

契約を結ぶ際には、まず「競業禁止規定」と「任意解除規定」についてよく確認しましょう。
競業禁止規定は、規定の削除交渉のほかに、行ってはいけない「競合する事業」範囲を明確にすることで競業禁止規定の影響を最小限に抑えることができます。
また、M&Aも視野に入れているベンチャーは「Change of Controlの条項」が定められていないかもよく確認するようにしましょう。
2016/04/18執筆
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